皆さん。汚染除去等の措置に対して都道府県等から助成金が出るってご存じですか?貸していた土地で土壌汚染が分かった。」など、汚染原因者ではない土地の所有者が、土壌汚染の対策などをする際に、工事費の一部が助成される制度があります。
助成金交付のしくみと助成される割合
助成金は、政府からの補助と民間からの出捐による土壌汚染対策基金から拠出されます。
基金からの助成金額は土地所有者等の費用負担能力や都道府県等の助成額等に応じて決まります。 「助成事業により都道府県等が助成する額の2/3の額または当該助成の対象となる対策費用の1/2の額のいずれか低い額以内」です。
都道府県等の助成金額は予算の状況等により変わります。
(例)対策費用が1億円の際の各者の負担額
仮に対象となる汚染対策工事費が1億円の場合は、基金からは5000万円、都道府県等からは2500万円、残りの2500万円は土地所有者等の負担となります。
助成金交付の条件
助成金交付の条件として、次の3つを満たす必要があります!
1「要措置区域」に指定された土地であること
土壌汚染状況調査で、土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合、「要措置区域」または「形質変更時要 届出区域」に指定されます。
助成対象は、その土地が「要措置区域」(現状のままでは、健康被害が生じるおそれがある土地)に指定され、汚染除去等計画の作成 及び提出の指示が出されていることが必要です。
つまり、地下水汚染があり近隣で地下水の飲用がある場合や、土壌汚染があるが土が剥き出しで被覆がされておらず土を口にする可能性があるようなケースです。要するに「健康被害が生ずるおそれがある」かどうかがキーですね。
2 「汚染原因者が不明・不存在」であること
(不明:汚染原因者が判明しない場合 不存在:汚染原因者が倒産等により存在しない場合)
助成対象となる要件は、汚染原因者が不明または不存在であることです。汚染原因者が自ら工事主体となって土壌汚染対策措置を行う場合は助成の対象にはなりません。これは、汚染原因者に対して助成を行うことは汚染者負担の原則に反すると考えられるためです。 また、汚染原因者である事業会社等が存在する場合も助成の対象とはなりません。
3 「費用負担能力が低い」こと
交付を受けようとする方の助成の条件は、「負担能力に関する基準の告示」(平成 16 年 1 月 30 日 環境省告示 4 号)によって下記のように定められています。
1.個人(事業を行う個人を除く)の場合
イ (助成金を受けようとする年の前年の所得の額)<(2 千万円)
ロ (助成金を受けようとする年の前年の所得の額)<(対策費用)×2÷3+(2 千万円)
ハ (助成金を受けようとする年の前年の所得の額)<(対策費用)×2
※所得の額が2千万円以上でも、ロ、ハに該当する場合は助成の対象となります。
また、イ~ハのいずれに該当するかで助成できる金額の上限が変わります。
2.事業を行う個人および法人の場合
(助成金を受けようとする事業年度の前事業年度の自己資本、正味財産または元入金の額)<(3億円)
実際に助成金が交付された案件は?
このように、適用範囲がかなり限られているため現状では、以下の2件しか交付実績がありません…。
➀
交付決定日 平成19年12月7日
交付確定日 平成22年1月26日
交付先 さいたま市
助成金額 5,000万円(対策事業費の約1/2)
➁
交付決定日 平成22年6月25日
交付確定日 平成24年7月24日
交付先 大阪府
助成金額 4,500万円(対策事業費の約1/2)
もっと、要件が緩くなることを個人的には切に願います。が、貸していた土地で事業主が破産し、地下水汚染が見つかったが近隣で地下水の飲用があるケースなどは、適応の可能性があるかもしれません。
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森上
参考ページ:
公益財団法人日本環境協会 助成金交付のしくみ
公益財団法人日本環境協会 助成金交付実績
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