地下水汚染について(2022年12月27日追記)
こんにちは
2022年もあと4日程ですね。
大掃除に棚卸など、ジオリゾームでも年末の風物詩と言えるお仕事を進めています。
さて今日は地下水汚染についてのお話を致します。
地下水汚染は自然由来的な原因で引き起こされているケースもありますが、人為的な生産活動から引き起こされているケースもあります。
自然由来的なもので言えば、埋立地など海水の影響を受けているエリアなどが代表的に上げられます。
例えば、ふっ素化合物の地下水基準は0.8mg/Lと言われていますが、海水には1.2mg/Lのふっ素が含まれていると言われています。元々海水には基準値を超えた濃度でふっ素が含まれています。
またほう素もふっ素同様に海水中には地下水基準を超える濃度で含まれています。
海水の影響が出るような場所での地下水調査では、注意が必要ですね。
(汽水域における「ふっ素」、「ほう素」濃度の海水への影響程度 出典:環境省)
また、自然界には存在しない有害物質による地下水汚染であれば、基本的には人為的な地下水汚染と言えます。
例えば第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)や第2種特定有害物質であればシアン化合物、第3種特定有害物質はすべて人為的に生成された化合物であり、自然界には存在していなかった有害物質と言えます。
各有害物質の特徴として、
第1種特定有害物質は基本的には液体の状態で存在しており、空気に触れているだけで揮発し、空気中に溶けていく性質を追っています。また地下水の影響により、汚染原因となった場所から下流1000mまで到達すると考えられています。
またシアン化合物や第3種特定有害物質は汚染原因となった場所から80mまで到達すると考えられています。
この地下水の到達距離は土壌汚染が引きおこって100年後までに到達する距離と言われています。(地下水汚染のメカニズム 出典:環境省)
測定場所によって異なるのですが、都市部において地下水の移動は年間24m程と言われています。有害物質は土壌への脱着や揮発、微生物による分解や地下水の影響による拡散などが起こり、自然減衰していくと言われています。
ただし、汚染が一度広がってしまうと、手に負えないくらいの労力と費用が掛かります。
タンカーの油漏れなどが例にあげられます。
普段から有害物質が地下へ浸透しないように注意が必要ですね。
土壌汚染や地下水汚染について気になること
わからないことがございましたら、
ジオリゾームまでご相談下さい。
地下水汚染の基本!(2019年9月19日追記)
こんにちは!
最近お問合せ頂いていたお話で、地下水汚染に関して心配されているということがありました。
地下水汚染は、物質によって広がり方が異なります。
土壌汚染対策法では26項目の特定有害物質が指定されています。揮発性有機化合物(第一種特定有害物質)は土壌中で分解しやすくまた吸着しにくいため、容易に浸透していきます。このため、地下水の流れによって広範囲へ汚染が広がる可能性が高いのです。
揮発性有機化合物として主に挙げられるのは、ドライクリーニングで使用されていたテトラクロロエチレンやガソリンに含まれているベンゼン等です。
調査契機⇒
また、重金属類(第二種特定有害物質)は、土壌と吸着しやすいため、深部へ浸透は少ないと言われています。しかし、四大公害の水俣病やイタイイタイ病はこの重金属である水銀、カドミウムが原因と言われています。
重金属類として挙げられるのは、メッキに使われる六価クロムや 半導体を製造する際にシリコン酸化膜を除去する薬剤などで使用させるふっ素等です。
それぞれ特定有害物質がどのような業種で使われていることが多いのかはこちら↓からご覧ください!
地下水汚染を判断するためには
➀土壌汚染状況調査
揮発性有機化合物(第一種特定有害物質)の場合、土壌ガスを採取して汚染のおそれの有無を判断します。重金属類(第二種特定有害物質)の場合、表層から50㎝の土壌を採取して汚染のおそれの有無を判断します。
➁ボーリング調査
どの深さまで汚染があるのかを判断します。同時に地下水の採取も行います。
地下水汚染の場合、汚染物質が地下水から流れてきて、対象地が汚染されている場合(もらい汚染)もあります。もらい汚染は、調査を行ったとしてもどの場所が原因なのか特定することは困難です。
もちろん対策は必要ですが、地下水の流れや深さ、周りの土質によって対策方法も費用も変わってきます。
ただし、周りで地下水の飲用をしていない、井戸水を使用していない等がきちんと確認が出来れば、必ずしも対策を行う必要があるとは限りません。地域によっては地下水の飲用等を禁止しているところもあります。
まずは調査を行って汚染されているのかどうかを知ることから始めてみてはどうでしょうか。
少しでも不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちらからどうぞ!
鈴木
土壌汚染よりも怖い?地下水汚染による健康被害と汚染の成り立ち( 2018年9月18日)
こんにちは!
今年のシルバーウィークは3連休が週ごとに続くような形ですね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。遠出はできないけど、イベントに参加したというかたもいらっしゃるのではないでしょうか。東京では激辛グルメ祭り、横浜ではパンの祭り、他にもワインフェスや築地秋祭りが開催されるそうですね。食欲の秋ということで、いろいろと食べ歩きも楽しいのではないでしょうか。
さて、今日は食べ物に関してというわけではないのですが、生活に欠かせない「水」についてお話いたします。
水と言えば、最近では自宅にウォーターサバ―やウォータースタンドを設置されているご家庭も多いのではないでしょうか。他には家での飲料水はミネラルウォーターを購入しているご家庭もあるかと思います。水は毎日何かしら必要ですよね。
そんな日々生活に不可欠な水が汚染されているとしたら、いかがでしょうか。恐ろしいですよね。東京では基本的に井戸水を使っているご家庭は少ないと思いますが、地下水を生活用水にされている場所はまだまだあります。それだけ水が美味しいのでしょうね。
実際に飲むためではなく、花や家庭菜園に散水したり、野菜の泥を落とすのに用いるケースが多いのではないでしょうか。僕の実家でも井戸水を使って洗車したりしています。検査をしていないので飲用には適していないですけどね。
土壌汚染調査をする中で、地下水を調査することがあります。その中で、土壌には汚染が見られないが、地下水のみ汚染されているというケースがあるのです。それは一体どういうこと?と思われるかもしれませんが。日本では、過去に使用されていた農薬(現在は使用禁止になっているもの)を埋め立て処分しており、その汚染が現在になって調査をしたら発見されることもあります。軍事施設として使用されていた場所のような所も、過去には規制がなかったため、汚染物質を場内に埋め立て処分をしていたこともあるようで、調べてみたら、汚染物質が詰め込まれたドラム缶が掘り出されることがあるようです。
他にも産業廃棄物の埋め立てや、工場から汚染物質が漏洩しているケースもあります。鉱山から流出された地下水によって公害病になってしまうケースもありますね。
なぜこのようなことが起こってしまうのかというと、土壌汚染を引き起こすような汚染物質は、水に溶ける性質を持つものがあります。そのため、地中に存在している汚染物質が、雨などにより、地中深くまで浸透して広がっていき、やがては地下水に乗って汚染範囲を広げていきます。遠くまで広がっていくものには、その距離何と1km以上に及ぶこともあります。汚染源となっている場所から、地下水の下流側1km先まで汚染が広がっているとなると、一体どこから来たものなのか、汚染源を特定することはほぼ不可能と言えるほどに困難です。
■□関連□■
土壌汚染とは?
土壌汚染物質の種類と基準値
その汚染された地下水を生活用水として利用していると、常に汚染物質に触れていることになります。汚染物質に触れたからと言ってすぐに健康被害が起こるわけではありませんが、日々、体内に蓄積されていき、内臓疾患や皮膚病として発症することになります。
地下水を生活用水として利用されているのであれば、土壌汚染だけではなく、地下水調査も行うことをお勧めいたします。どんな調査が必要なのか、費用がどの位まで掛かるのかなど、氣になる方は是非とも弊社ジオリゾームにご相談ください。
森上
地下水汚染からくる土壌汚染、『もらい汚染』(2017年9月14日)
こんにちは!
今日は地下水調査の現場に行ってきました。
地下水調査をしているとまれに、特定有害物質を使用していない敷地なのに汚染が見つかる場合があります。
敷地外から流入してくる地下水が汚染されており、調査をすると汚染が判明するというケースになります。
いわゆる『もらい汚染』と言われるものです。
土壌汚染や地下水汚染の原因となりやすい業種としてクリーニング業やメッキ業などがあります。
■□関連□■
クリーニング店売却時の土壌汚染調査
メッキ工場廃止時の土壌汚染調査
不動産取引の際には、もらい汚染の可能性を危惧し上記の様な工場や作業場が対象地付近にあるのかなどの調査をおこなうことがあります。
土地の価値は、もらい汚染であっても、汚染されている土地として評価されてしまうからです。
土地を売りたいのに、汚染されている土地と判断され価値が下がってしてしまうこともあります。
どのような業界であっても、健康被害になりやすい薬品を使用される際には、十分に注意してください。
ジオリゾームでは、土壌汚染問題の経験をされている弁護士との連携により、もらい汚染の問題も解決しています。
土壌汚染についてお困りの際には是非、ジオリゾームにご相談ください。
森上
地下水経由による汚染とリスク(土壌溶出量基準)について②(2017年3月15日)
お元氣様です!
先日は地下水経由によるリスクを書かせて頂きましたが、本日は閾値のある特定有害物質などの計算の方法をブログに記載します。
皆さんはTDIという言葉をご存知でしょうか?
※舞浜にあるテーマパークではございませんよ!
【Tolerable Daily Intake:耐用1日摂取量】と呼ばれ、ラットなどの動物実験によって判明したリスクをUF(不確実係数100~1000)で割ったものによって求められる値で、人に対してこの量ならば一生涯摂取(暴露)し続けても健康被害にならない値の事を言います。
地下水摂取の溶出量基準値はそのTDIを人の平均体重50kg、1日水2L、寄与率(基本10%)を考慮して求められる形になります。
■計算式
基準値(mg/L)=TDI(mg/kg/day)÷2L/day×50kg×寄与率
日本国内でも下水道が整備されて水も美味しくなり、地下水を2L 毎日飲み続ける可能性のあることはそこまで多くは無いとは思いますが、こういった安全性を持った基準が定められることによって国民の安全が守られていることになるんですね。
土壌汚染について気になることがある方はこちらへ!
望月
地下水経由による汚染とリスク(土壌溶出量基準)について(2017年2月28日)
お元氣様です!
今日は土壌溶出量基準値の設定の考え方について少し書かせて頂きます。
土壌溶出量は汚染土壌から特定有害物質が地下水に溶出して、その地下水を引用した場合に起こる健康リスクを考慮して設定されております。飲用に関する期間は70年間、1日2Lの地下水を引用することを想定しており、物質によっても様々で、人に対して閾値(影響を起こさないと考えられる量)がある項目と無い項目と存在します。
無い項目についてはベンゼンやトリクロロエチレンなどの発がん性を有するものなどがあげられております。
また、例外も存在し、鉛のように幼児期の毒性を考慮しているものやシアンのように急性毒性に基づいて設定しているケースなどがございます。
その為、特定有害物質が検出されたからといって、直ちに健康被害になる可能性のある物質も限られますので、まずは落ち着いて対処を考えていくことが大事になってきます。
何かお訊ねしたいことがあれば当社まで是非ご連絡下さい。
株式会社ジオリゾーム 望月
土壌汚染対策法における汚染の影響がある範囲の考え方(2016年1月18日)
みなさんこんにちは。
対象地が土壌汚染調査の結果、何らかの物質によって汚染が確認された場合、地下水自体が汚染されていないかも確認しないといけません。
地下水接種のリスクがある場合、つまり土壌溶出量基準不適合時に調査対象地周辺で地下水の引用がある場合に「人の暴露の可能性がある」と判断されます。また物質ごとに暴露の範囲が変わってきます。各物質によっての影響範囲は下記のとおりです。
・溶剤系の第一種特定有害物質・・・概ね1000m
・六価クロム・・・概ね 500m
・砒素、ふっ素、ほう素・・・概ね 250m
・シアン、カドミウム、鉛、水銀、セレン、農薬類、PCB・・・概ね 80m
確かに近年は井戸水で生活されている方々は少なくなってきています。しかし、義務調査の場合に溶出量基準の超過が認められた場合、影響範囲の中に井戸水で生活されている方々がいると、何らかの形で行政から処置を求められることになります。特に汚染物質を使用して事業活動を行っている企業様は自社周辺で井戸水で生活されている方がいないか気にかけた方が良いかもしれません。
土壌汚染のことでご相談ごとなどがありましたら、お気軽にジオリゾームへご相談下さいね。
TU
*業務時間外は、直接担当者に繋がります。