土地売買をしたいのに土壌汚染が見つかってしまった。工場を廃止する際に土壌調査をすると汚染が見つかってしまった。こんな時、どうすれば良いのかという問題が出てきます。
汚染土壌の対策工事においては、汚染土を掘削しきれいな土を埋め戻すというのが一番手っ取り早いことが多いですが、土木工事や汚染土の搬出や処分、清浄土の購入費等で費用が膨らむケースが多くあります。都内では敷地が狭く大型重機が入らない、道路の規制でトラックの進入が厳しいなど様々な制限もあります。
今回は掘削除去以外の土壌浄化の工法についてご説明いたします。
土壌汚染対策法で定められている汚染物質は26項目とされています。その中で第1種特定有害物質(=VOC)は12項目あり、第2種特定有害物質(重金属類)は9項目、第3種特定有害物質は(農薬類)は5項目です。
■VOCの対策
VOCは溶剤に含まれていたり基本的には液体として使用されますが、揮発性を持った化合物とされています。そのため、薬剤を混ぜて分解を促す工法や土壌ガスや地下水を汲み上げ揮発させてしまう工法などが取られるケースがあります。
・還元分解法
鉄粉などを汚染土壌と混ぜ合わせ、撹拌することでVOCから脱塩素処理を行い、無害なエチレンまで処理を行う工法です。
・酸化分解法
次亜塩素酸や過マンガン酸処理、過酸化水素と鉄粉を用いたフェントン工法など、酸化反応によってVOCを二酸化炭素や水、塩化物イオンまで分解してしまう工法です。
・ホットソイル法
石灰を汚染土壌に混ぜ撹拌することで、熱を加え、VOCを揮発させ汚染物質を除去する工法です。
・微生物分解法
VOCを分解する能力を持つ微生物と栄養剤を汚染土壌に注入する工法、もしくは汚染土壌中にVOCを分解する能力を持つ微生物がいる場合には、栄養剤などを注入し微生物の働きを活性化させ汚染物質を分解する工法です。
・原位置抽出
VOCの揮発する性質を利用し、土壌中の気体を吸引することで、汚染物質を土壌から除却する工法や、地下水まで汚染が浸透している場合には、汚染された地下水を汲み上げ、VOCを活性炭に吸着させ、汚染物質を取り除く工法。
・原位置封じ込め
汚染土壌を現状のまま、もしくは薬剤などで汚染の濃度をうすめた状態で、遮水壁で囲ってしまい汚染を広げない為の工法です。
今回はVOCの汚染土壌の対策方法について紹介させていただきました。
汚染土壌対策として工期や確実性が高いものは掘削除去と言われ、土地売買などでは一番多く活用されています。薬剤を注入する工法などは反応の良し悪しや汚染濃度によっては半年以上かかる場合があります。また原位置封じ込めについては、安価で工期も短いものの、汚染が残ってしまうので、敬遠されがちです。
汚染土壌対策工事については今後敷地をどのように活用するのか等の問題もあり、それぞれのケースに合った工法を選ぶ必要があります。
汚染土壌対策工事について、またそれ以前の土壌汚染調査について気になることがございましたら、
是非ジオリゾームにご相談下さい。
森上
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