当社では、土壌汚染調査・浄化の他、土壌の水分保持曲線を求める試験(土の保水性試験)も行っております。
水分保持曲線の用途
汚染土壌の影響解析、雨水の浸透解析など。
汚染土壌の解析のために土質別の推定値を使う場合もありますが、やはり採取した土の実際の値を調べるのが理想的です。このための試験が土の保水性試験(pF試験)です。これで求まる水分保持曲線により不飽和透水係数を推定することができます。
不飽和透水係数の推定
土の中の水の移動についての試験として飽和透水係数が良く知られております。しかし、現実の土に対しては飽和していない不飽和の状態も考慮する必要があります。この不飽和の状態における透水係数を直接試験で求めることが困難なため、直接的な試験ではなく間接的な方法によって求めております。当社では、このための試験を行っております。
●有効水分測定は植栽土の保水性の優劣を評価する調査です。
この調査は、水分保持曲線を求めるものではありませんが、同じ試験装置で行うことができます。水分保持曲線との違いは、以下の表のとおりです。この試験についても当社で対応しておりますので、お気軽にご依頼ください。
目的 | 試験pF | 試験期間 | 試験費用 | |
水分保持曲線 |
地下水解析、 汚染物質移流解析 |
通常: 7段階 |
20日~30日 | 比較的高額 |
有効水分測定 | 植物が利用できる水分を求めることで、植栽の客土を評価する | 2段階 (pF1.8、pF3.0) | 7日~10日 | 安価 |
不飽和透水係数を求める手順
1.水分保持曲線
①現地の土を乱さない状態で100mlのコアで採取します。
②試験室で飽和させます。
③様々な力(砂柱法、加圧板法、遠心分離)で段階的に脱水させその各段階の質量を測ることで、それぞれの段階における水の保持量を求めます。
試験装置:(株)土木管理総合試験所
④pFと体積水分量との関係をプロットしvan Genuchten(バンギノヒテン)の式にフィッティングさせ、定数(θs、θr、a、n)を求めます。
次に、ksの式に求めた定数を代入して任意の体積含水率におけるks(比透水係数)が算出されます。この比透水係数を飽和透水係数に掛けることで不飽和透水係数の推定値を求めます。
van Genuchtenの式へのフィッティング
試験データからvan Genuchtenの係数(θs、θr、a、n)を算出するのにSWRC Fit(土壌水分特性曲線の非線形回帰プログラム、文献参照)が便利です。
水分保持曲線結果では、pF値とこれに対する体積含水率が求まります。これから以下の変換をしたのが、右の試験結果です。
・負圧水頭(cm)=10^pF
・体積含水率(無次元)=w/100
ここで、w=体積含水率(%)
このデータ1対をプログラムに入力することで、パラメータ(θs、θr、a、n)が求まります。
van Genuchtenの係数(θs、θr、a、n)の算出をお客様で実施される際には、理想的な値が出ない場合もあります。試験誤差を考えて、同一の試料を3個程度用意されることをお薦め致します。
水分保持特定曲線算出時の留意点
不飽和透水係数を求めるために保水性試験を行う場合、できるだけ多くのpF-体積含水率の組み合わせによって求めることが理想です。この水分特性曲線を求める最適なサイトSWRC Fit (webmasters.gr.jp)があります。但し、適切な試験を実施しないと無意味な水分特性曲線を求めることになってしまいます。図に示した2つのグラフは、左側の理想的な曲線に対して、pF-体積含水率の組み合わせが不適切であると意味のない水分特性曲線となってしまいます。不飽和透水係数の算出のため、水分特性曲線を求める際には、当社へご相談をお願い致します。
2.飽和透水係数の測定
現場透水試験や室内透水試験により求めます。
3.不飽和透水係数の推定
ここで、k :不飽和透水係数
ks :飽和透水係数 が求められます。
土の保水性試験についてのお問い合わせは、こちらから承っております。
試験の条件、価格、納期については当社までお気軽にお問い合わせ下さい。
*業務時間外は、直接担当者に繋がります。