土壌汚染対策法が、平成31年4月から大きく変わったって聞いたんだけど!?
そうなんです。平成31年4月1日に施行された、2段階施行は、変更点が多く、面積要件の縮小もあります。
特に、有害物質使用の特定施設をお持ちの事業者様、3000m2以上の土地の開発等をご計画の事業者様はご注意ください。
土壌汚染対策法は、平成14年(2002年)に制定されて以来、平成22年と平成29年に法の大改正が行われました。
「土壌汚染対策法の一部を改正する法律案」が平成29年3月3日に閣議決定され、平成29年5月19日に公布されました。また、そのうちの一部が平成30年4月1日から施行され、残りの部分が平成31年4月1日に施行されました。
平成31年4月施行の改正内容も含めた、土壌汚染対策法の無料冊子もできあがりましたので、ご参考にしていただければと思います
【第二段階施行】平成31年4月1日施行の内容
平成29年5月19日に公布された「土壌汚染対策法の一部を改正する法律案」の2段階施行分が、平成31年4月1日から施行されます。第一段階施行に比べて事業者等への影響が大きいのが特徴です。特に、有害物質使用の特定施設をお持ちの事業者様、3000m2以上の土地の開発等をご計画の事業者様はご注意ください。
「有害物質使用の特定施設」に関する土壌汚染対策法改正ポイント【事業者の方ご注意を!】
有害物質使用の特定施設に関わる大きな変更点は「3つ」です。契機の拡大や面積要件の縮小がありますので、事業主の方ご注意ください。
①調査契機の拡大。調査の猶予を受けている土地への新規制(第3条)
改正前
工場が操業を続けている等の理由により土壌汚染状況調査が猶予されている土地において、利用方法が変更される場合は届出が必要だったが、形質変更は届け出の対象外だった。(土壌汚染状況の把握が不十分であり、地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散が懸念され、今回の改正に至った。)
- 土壌汚染状況調査が猶予されている土地において、利用の方法の変更だけでなく、土地の形質変更時※にも届出をすることとする(3条7項)。土地の形質変更を行うときは届出をする必要があるとともに調査義務が発生する場合があります。
※ただし、「軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの」は届出の対象から除かれます。
- 都道府県知事は、届出がなされた形質変更を行う土地について、土壌汚染状況調査を命ずることとする(3条8項)。
ここからさらに詳しい説明をしていきます。
今回の土壌汚染対策法の改正により、法3条の調査の猶予を受けている土地が「土地の形質変更」をする場合も、届出と調査が必要になります。
具体的には、900m2以上土地の形質変更時、軽易な変更*を除き、届出を行い調査を実施する必要があります。
以下のすべてに該当する行為を言います。
・土壌を土地の区域外へ搬出しない。
・土壌の飛散又は流出を伴う土地の形質変更をしない。
・土地の形質の変更の最大深さが50㎝以下
その他、農業を営むために通常行われる行為、林業の用に供する作業路網の整備、鉱山関係の土地も、届出の必要のない形質変更です。
上の図のように、900m2を超える土地の形質変更を行う場合は、届出を行い調査を実施する必要があります(形質変更の範囲および深度が対象)。
「第一項ただし書の確認に係る土地」で、調査の猶予を受けている土地をお持ちの方はご注意ください!
平成31年5月1日以降の場合この改正法が適用されます。
②操業中の工場。第4条の形質変更時の届け出面積縮小(第4条)
改正前
操業中の有害物質使用特定施設のある工場が、形質変更時に届ける必要のある面積は3000m2以上だった(他の第4条の要件と同じ)。
- 有害物質使用の特定施設がある工場については、900m2以上の土地の形質変更時に届出が必要
法3条の場合と同じく、有害物質使用特定施設のある工場は、900m2以上の土地の形質変更時(軽易な変更を除き)、届出を行い調査を実施する必要があります。
上図のように、900m2を超える土地の形質変更(建物の増改築等)が行われる場合は、届出が必要となります。
平成31年5月1日以降の場合この改正法が適用されます。
③地下浸透防止措置が行われている施設について
- 水濁法施行後に新設された、地下浸透防止措置が行われている施設について、適切に機能していることが確認された場合、地下浸透防止措置の施された範囲は「汚染のおそれがない土地」として扱う。
水質汚濁防止法施行後に新設された有害物質使用特定施設で、地下浸透防止施設がもうけられている施設で、点検が適切に行われ、有害物質を含む水が地下に浸透したおそれがないことが確認できた場合に、「汚染のおそれがない土地」と扱うことができるようになります。
「3000m2以上の土地形質変更(開発等)」に関するポイント
3,000m2以上の土地の形質変更に関する大きな変更点は「2つ」です。こちらは、事業主等の負担を減らそうという改正内容になります。
①法第4条の調査対象となる深さが変更になります
改正前
調査の深さは最大深度10mでした。
- 第4条(3000m2以上の土地の形質変更時)の調査の対象深度が、掘削深度+1mまでとすることができる。
- 掘削を行う深さ+1mの深さ(最大深度10m)までに汚染のおそれがある場合に調査が必要となる。
※猶予中の土地での4条の土地の形質変更時の考え方も同様 - 別の機会(再開発や追加工事等)に、掘削深度がより深くなる場合は追加調査が必要。
図で説明していきます。上の図のように、「掘削対象の深さ+1m」が法4条の調査対象の深さになります。それより深い場所は、4条調査の対象外となります。
もう一つの図でも確認していきます。汚染のおそれが地下にある場合(配管、ピットなどがある場合が該当します)、それが開発等で掘削する深さ(形質変更範囲)+1mより深い場所であれば、調査の対象外ということです。
この改正法により、大規模な土地開発をおこなう事業者様にとっては、調査深度が浅くなりますので、大きく負担が減ることが期待されます。意図せず深い深度の自然由来土壌などを拾ってしまった、、、ということも減るのではないでしょうか。
②法第4条の届出対象範囲の適正化
- 都道府県知事が、第4条調査の届出対象外の区域を指定することができるようになります。
都道府県が土壌汚染調査に基づいた方法で調査した結果をもとに、「法4条届出対象外の区域」を決めます。区域が定められた場合は、公示される予定になっています。
どの程度の区域が対象外として指定されるのか、見守っていく必要があります。指定された区域については、大規模な土地開発の際調査が不要となるので、工事の際の事業者の負担が大きく減ることになります。
ご不明な点などお気軽にご相談ください。
「臨海部、埋立地、自然由来土」に係る改正ポイント
臨海部、埋立地、自然由来土、それぞれに変更点があります。こちらも、事業主等の負担を減らそうという改正内容になります。
①臨海部の工場専用地域等の特例(第12条)
改正前。
・臨海部の工業専用地域は、一般の居住者による地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による基準不適合土壌のみが広がって いる場合については、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いと考えられる。
・一方、大規模な工事を行う場合には届出・調査が必要で、その度に形質変更時要届出区域となり、工事毎の事前届出が求められていた。
- 臨海部の工業専用地域について、汚染が自然由来又は水面埋立材由来で、人の健康被害が生じるおそれのない土地(臨海部特例区域)は、予め都道府県知事に施工および管理の方針の確認を受けた後は、方針に基づく土地の形質変更は、工事毎の事前届出に代えて年一回程度の事後届出とする。
※臨海部の工業専用地域に位置する土地に限定。ただし、人為由来汚染の位置が特定されている土地は含まれません。
※法4条等で調査対象となり、区域指定された土地について、「臨海部特例区域」の申請が可能になります。未調査の土地については、法と同等の調査をして、14条申請と合わせて、「臨海部特例区域」の申請をすることで、摘要されます。
臨海部の工業専用地域に限られますが、形質変更の届出が1年ごとの事後届け出となり、該当する場合は負担が大幅に検討されます。
②自然由来・埋立材料由来の汚染土壌の取り扱い(第16条、第18条、第27条の5)
改正前
・自然由来等による汚染土壌は濃度が低くかつ同一地層に広く存在している。
・これらを区域外へ搬出する場合は、人為由来と同様に都道府県知事の許可を受けた汚染土壌処理施設で処理する必要がある。
- 基準不適合が自然由来等による土壌を搬出する場合は、処理施設での処理に限定せず、都道府県知事へ届出を行い、運搬方法や搬出先等について、汚染の拡散がないことの確認を受けた上で、同一の地層の自然由来等による基準不適合の土壌がある他の指定区域への移動も可能とする(16条1項7号、18条1項2号)。
※必要な手続きや要件について、省令において規定予定。 - 併せて、国や自治体等が行う水面埋立等による汚染土壌処理について、都道府県知事との協議の成立により、処理業の許可を得たものとみなす特例を定める(27条の5)。
この改正により、自然由来の汚染土壌を、同じ地質で自然由来等土壌のある指定区域への移動が可能になります。
③埋立地の特例区域と調査
改正前
・昭和52年3月15日より前の埋立地は、埋立地管理区域とされていた。
・埋立地の特例調査の方法について、第2,3種特定有害物質を調査する場合に5地点混合法でボーリング調査が必要であった。
- 昭和52年3月15日以前の埋立地でも、一定の基準が満たされれば埋立地特例区域に指定される。
※汚染原因が埋立材由来、廃棄物が無い、第2種特定有害物質は第2溶出基準適合、第1種・3種・シアンは基準適合。 - 埋立地特例調査は、全ての特定有害物質について30m格子の中心が認められる。埋立の上下端が分かる場合は調査深度設定可能に
改正により、形質変更や調査費用の負担が軽減されます。
ご不明な点などお気軽にご相談ください。
「汚染があり区域指定されている土地」に関する改正ポイント
すでに、調査して区域指定されている土地に関する改正点は、大きく「4つ」です。同じ敷地内であれば汚染土壌を1か所にまとめれるなど、事業主様の負担を減らそうという内容です。
①飛び地間での汚染土壌の移動が可能になります(法第16条、18条)
改正前
・飛び地になって区域している区画の間で土壌の移動が認められていなかった。境界を越えた汚染土壌の移動は「搬出」に該当し、汚染土壌処理施設で処理する必要があった。
・例えば、一方の区画に汚染土壌を移動して土地を活用したい場合、飛び地の間の土地を14条申請する必要があった。間に、公道などがあれば不可だった。
- 同じ調査契機に基づき指定された、指定区域(要措置区域等)の間で土地の形質変更などに使用することが可能に
上図のように、公道を挟んだ指定区域の間でも、汚染土壌を移動することが可能になります。
「汚染土壌を一方の指定区域に移動して土地を活用する」など、汚染土壌の管理の選択肢が増えます。土地活用の選択肢も増えます。
②要措置区域の汚染の除去等の措置内容に関する計画提出(第7条)
改正前
・要措置区域では、汚染の除去等の措置について、都道府県知事が事前に確認・指導する仕組みがなかった。
- 要措置区域の土地所有者等に対して、措置に関して、都道府県知事への計画、変更、完了報告の提出を義務付ける(7条1項、3項、9項)。
- 計画内容が技術的基準に適合しない場合の知事による計画変更命令を創設(7条4項)。
※計画や報告書の記載事項、様式や技術的基準を、省令において規定予定。
この改定により、措置を行う場合の技術レベルが重視されるようになります。
③要措置区域の土地の形質変更を行う際の施工方法で、汚染を拡散させない施工方法の負担(地下水の管理の負担)が軽減されます。
改正前
下図のように、準不透水層まで遮水壁を施工し、汚染の拡散を防ぐこととされていて事業者負担が大きかった。
- 要措置区域等の土地の形質変更を行う際の施工方法で、遮水壁を設ける以外に、地下水質や地下水を管理する方法で施工することが可能になります。
※形質変更の時に、汚染を拡散させない施工方法の負担が軽減されます
下図のように、今まで埋立地管理区域でしか認められていなかった地下水・水位管理の方法が要措置区域でも認められることになった。留意点:災害など緊急事態時の対応方法、施工中に汚染が拡大した場合の対応方法を定めておく必要があります。
この法改正によって、要措置区域の土地の形質変更時の負担が軽減されます。
④その他
- 認定調査(要措置区域から土壌を搬出する際の調査)が合理化されます。
※全26物質の調査→地歴調査で把握された物質に限定が可能に。
以上、事業者様等について大きいポイントを説明してきました。
その他
・台帳の記載事項の取り扱い
・土壌汚染調査状況調査の合理化 等も定められます。
以上が、事業主様等にとって影響の大きい、H31年4月より施行された改正土壌汚染対策法の内容になります。
ご不明な点等、お気軽にお問い合せください。
平成31年4月施行の改正内容も含めた、土壌汚染対策法の無料冊子もできあがりましたので、ご参考にしていただければと思います
【第一段階施行】平成30年4月1日施行の内容
第一段階施行は、事務的な内容が主になります。
土地の形質の変更の届出に併せて行う土壌汚染状況調査の結果の提出(改正法第4条第2項)
- 一定規模以上の土地の形質の変更を行おうとする者は、当該土地の所有者等の全員の同意を得て、当該土地の土壌の汚染状況について、都道府県知事に対し、土地の形質の変更の届出に併せて土壌汚染状況調査の結果を提出することができることとする
法第4条(3,000平方メートル以上の土地の形質の変更)の手続において汚染のおそれを的確に捉え、迅速に行政判断を行えるようにするため、当該土地の所有者等の全員の同意を得て、当該土地の土壌の汚染状況について、都道府県知事に対し、土地の形質の変更の届出に併せて土壌汚染状況調査の結果を提出することができることになりました。
本規定により当該土地の土壌汚染状況調査の結果を提出した場合には、改正法第4条第3項の土壌汚染状況調査の結果の報告の命令の対象となりません。ただし、土壌汚染状況調査の方法や結果に不備がある場合や、土地の形質の変更に着手する時点の土地の汚染の状態を反映していないものについては、調査結果の報告を命じることがあります。
解除台帳の調製(改正法第15条第1項)
- 区域指定が解除された要措置区域等の台帳を調製及び保管しなければならないこととする
区域指定が解除された要措置区域等の台帳を調製及び保管しなければならないこととなります。県知事等は、要措置区域等についてその所在地、土壌汚染の状況等を記載した台帳に加え、区域指定が解除された要措置区域等の台帳を調製し保管することとされました。
汚染土壌処理業の欠格要件の見直し(改正法第22条第3項)
- 「暴力団員等に該当しないこと」が欠格要件に追加されました。
- 法定代理人(申請者が未成年である場合。法定代理人が法人である場合はその法人の役員を含む。)及び政令で定める使用人に対しても欠格要件が適用されることになりました。
汚染土壌処理業の譲渡及び譲受、汚染土壌処理業者である法人の合併又は分割並びに相続の承認申請(改正法第27条の2、第27条の3、第27条の4)
譲渡及び譲受
汚染土壌処理業者が当該汚染土壌処理業を譲渡する場合において譲渡人及び譲受人が,その当該譲渡及び譲受について,県知事等の承認を受けたときは,譲受人は譲渡人の汚染土壌処理業者の地位を承継することとなりました。
合併又は分割
汚染土壌処理業者である法人の合併又は分割の場合において当該合併又は分割について,県知事等の承認を受けたときは,合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該汚染土壌処理業の全部を承継した法人は,汚染土壌処理業者の地位を承継することとなりました。
相続
汚染土壌処理業者が死亡した場合において,相続人が汚染土壌処理業を引き続き行おうとするときは,被相続人の死亡後60日以内に県知事等に申請して承認を受けることで,汚染土壌処理業者の地位を承継することとなりました。
指定調査機関の事業所の名称、所在地等の変更の届出(改正法第35条)
- 指定調査機関に係る変更事項について、事後届出に変更する
都道府県知事による土壌汚染に関する情報の収集、整理、保存及び提供等(改正法第61条第1項)
- 都道府県知事による情報収集事項として、当該都道府県の区域内の土地についての、土壌の特定有害物質による汚染による人の健康に係る被害が生ずるおそれに関する情報が追加されました
有害物質使用特定施設を設置していた者による土壌汚染状況調査への協力(改正法第61条の2)
- 有害物質使用特定施設を設置していた者は、当該土地における土壌汚染状況調査を行う指定調査機関に対し、その求めに応じて、当該有害物質使用特定施設において製造し、使用し、又は処理していた特定有害物質の種類等の情報を提供するよう努めるものとされました
参考:平成29年度改正土壌汚染対策法説明会資料「改正土壌汚染対策法について」(環境省)
ご不明な点などお気軽にご相談ください。
平成22年の土壌汚染対策法の改正ポイント
土壌汚染対策法改正ポイント1
3,000㎡以上の土地の形質変更時に土壌汚染調査が義務化(土壌汚染対策法第4条)
改正前
「特定有害物質を使用している特定施設を廃止した事業所」にのみ調査が義務付けられていました。
大阪府や東京都などの限られた都道府県条例でのみ、3,000㎡以上の土地の改変の際に土壌汚染調査が義務化されていました。
- 2010年4月1日の 土壌汚染対策法の改正によって、
全国の「3,000㎡以上の土地の形質変更を行おうとする土地のうち、都道府県知事が特定有害物質により土壌が汚染されているおそれがあると認めた範囲については、土壌汚染調査の義務が発生」することになりました。
この表現、分かりにくいので、ポイントをご説明させていただきます。
解説1 対象となる土地
「3,000㎡以上の範囲の土地を形質変更する場合」です。 敷地が3,000㎡以上ではありません。 つまり、敷地が10,000㎡であっても、土をいじる面積が3,000㎡より少ない場合は、対象にはなりません。逆に、敷地が3,000㎡で、敷地全てを掘削、盛り土する場合は対象になります。
解説2 調査の流れ
開発等の際に、3000㎡以上の土地の形質変更の届け出を役所にしたところから、スタートとなります。
ポイントは、都道府県知事が汚染のおそれがあるかどうかを調べて判断する。という点です。
具体的な調査の流れは、下記になります。
全国で、3,000㎡以上の土地の改変を検討されている方は、ご注意ください。
さて、都道府県知事がどうやって汚染のおそれがあるかどうかを調べるのかについてですが、都道府県によっては、開発者に指定調査機関に調べさせた地歴調査報告書を提出させるケースもあります。都道府県によってさまざまですので、お気軽にお問い合わせください。
また、都道府県条例によっては、土壌汚染対策法に加えて調査が義務付けられているケースもありますのでご注意ください。
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
改正土壌汚染対策法 ポイント2
汚染土壌が残っている区域の分け方が細分化
改正前
行政は、汚染土壌が残っている土地をすべて「指定区域」として管理していました。
- 2010年4月1日の土壌汚染対策法の改正により、下記の2つに分類されました。
①「要措置区域」=人への健康被害を及ぼさないように汚染土壌・地下水の対策が必要な土地
②「形質変更時要届出区域」=汚染土壌や地下水が、現状のままで土地を利用するなら人への健康被害を及ぼさない状態の土地。そのまま使うのであれば問題はないが、開発など土地を改変する場合には届出をしてくださいという土地
ポイントをご説明させていただきます。
解説1 調査後の分類
実際に土壌汚染調査で、汚染ありの結果が出た場合に、下記のように分類されます。
解説2 調査後の分類
2011年7月8日に、上記の②「形質変更時要届出区域」がさらに、下記の4つに分類されました。
①自然由来特例区域
自然的原因ために基準値に適合しない土地(シアン化合物を除く第二種特定有害物質による)
②埋立地特例区域
埋め立て又は干拓によってできた土地で、埋め立て用材料によって基準値に適合しない土地
③埋立地管理区域
埋め立て又は干拓によってできた土地で、工業専用地域にある土地。又は、将来にわたって、地下水が飲用で利用されない可能性が高いと認められる土地。
④適正管理区域
人為的な原因で汚染された土地で、土地の形質変更時に届出をしなければならない土地
また、それに伴って、一部の区域での調査方法や形質変更の施工方法についての指示が出されました。詳細は区域分類の表(外部リンク:環境省)をご参照ください。
改正土壌汚染対策法 ポイント3
自主調査の届出
改正前
自主調査の報告内容を行政がどう処理するかについて、触れられた条文はありませんでした。
- 2010年4月1日の 土壌汚染対策法の改正によって、
「自主調査の結果を都道府県知事に報告し、区域への指定を申請することができる(第14条)」と明文化されました。
自主調査の結果を行政へ届け出れば、義務調査と同じように区域指定されるようになりました。
解説1 自主調査の届け出は義務ではありません
新14条により、自主調査の報告をすることができるようになりましたが、
「できる」という表現なので、「届出は義務ではありません」。あくまで、自主的なものです。
解説2 自主調査を届け出るメリット
届け出が義務でないなら、届け出るメリットなんてあるの?特に、汚染が出た場合にはわざわざ公表してどうなるの?と思われる方もいらっしゃると思います。
まず、一つ目のメリットとしては、「役所のお墨付きをもらえる。」こと。このメリットが特に活かせるのは、汚染が無かった場合と、浄化工事をした場合になります。法律改正前は、これが目的で自主的に報告書を届け出ていました。
2つ目の メリットとしては、例えば、汚染ありの調査結果が出たが完全に除去するにはコストが莫大にかかるために、
「周囲住民へ健康被害が及ばない最低限の措置をして、周辺住民への理解を得たい」といった場合、調査結果を行政へ報告して「形質変更時要届出区域」に指定してもらえば説明がしやすいということ等が挙げられます。
環境省としては、汚染の完全除去は莫大なコストもかかり、汚染土がその場から移動するという環境負荷の問題もあることから、「形質変更時要届出区域」を増やしていきたいと強調されていました。しかし、市民の意識が変わるには、土壌汚染や地下水は、食べたり飲んだりすることが無ければ大丈夫なんだという正しい認識が広がることや、土地に対する評価の問題等がクリアになることが課題になっていくと思われます。
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。