窯業(ようぎょう)って、窯を使って焼き物をするイメージなんですが?
はい。窯業は、”窯(かま)”を使用して非金属原料を高熱処理して作るものを製造する工業を言います。陶磁器・ガラス・セメント・レンガ等の製造などがあります。
窯業で考えられる土壌汚染について見ていきたいと思います。陶磁器の釉薬についてはこちらのページをご覧下さい。
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製造工程
はじめは、代表的なガラスの製造法をみていきます。
ガラスの製造工程 フロート法
板ガラスの製造方法の中でも最もメジャーな方法がフロート製法です。フロート法とは、溶かしたガラスを窯(炉)から送り出し、溶融金属の上を浮かせながら流す製造方法です。
原料貯蔵・調合(ガラスのもととなる原料を混合)
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溶融(1400℃の高温で焼成)
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成型(溶融炉で溶かした原料を製品の形にしていく)
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徐冷(急激にガラスを冷やすと割れてしまうので、徐々に冷やしていく)
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洗浄作業(温水やブラシを使った洗浄)next
切断、出荷
各製品の主な原料
ここから、原料や製造工程で使用などが考えられる土壌汚染物質について確認していきます。まずは、原料についてです。
ガラスの原料
シリカ(けい砂)・ソーダ灰・炭酸カルシウム etc.
陶磁器の原料
けい砂・カオリン・蛙目粘土(がいろめねんど)・陶石・長石 etc.
*特定有害物質は含まれていないとされています。
セメントの原料
けい砂・石灰石・粘土・酸化鉄原料 etc.
レンガの原料
粘土・頁岩(けつがん)・泥etc
*特定有害物質は含まれていないとされています。
ガラスに含まれる特定有害物質
上でみたように、主原料には土壌汚染物質は含まれていませんが、
特定のガラスを作る際に使用する材料や、着色料などに、土壌汚染物質が使用されています。
ホウ素
「硬質ガラス」を作る際の原料として使用されます。
硼砂(ほうさ)を入れることでガラスの強度が上がります。
例:フラスコ等の実験器具、ガラス製の耐熱食器
鉛
「クリスタル・ガラス」を作る際の原料として使用されます。
酸化鉛を入れることで、ガラスの艶、透明度、重量感が増します。
例:食器類(江戸切子)、民芸品
*鉛はRoHs規制により世界中で使用は規制されています。
六価クロム
ガラスに緑色を着色する原料として使用される。
酸化クロム(Cr3+)、重クロム酸カリ(Cr6+)が含まれる。
*食器類
セレン、カドミウム
ガラスに黄色~赤色を着色する原料として使用される。硫化カドミ(黄色)、セレン化カドミの割合によりオレンジ色~赤色となる。セレン単体でピンク色となる
*食器類
ふっ素
①原料の溶融促進剤として使用される。
②フロストガラスの原料として使用される。
フロストガラスは見た目が「すりガラス」のように半透明のガラス
ふっ素がガラス内部で光を乱反射され、半透明となる。
まとめ
- 窯業の中で、有害物質を使用する業種はガラスやセメント製造などになります。
- 一方、陶磁器やレンガなどは有害物質を使用していないとされています。しかしながら、着色料などに含まれる可能性があります。
- ガラスについては、着色した製品でなければ六価クロム、セレン、カドミウムは使用されません。
- ガラス製品(板ガラス、硬質ガラス、クリスタルガラス)によって原料となる有害物質が異なります。
- ふっ素については、溶融促進材として利用されるので、工場ごとに異なります。
一口に窯業といっても、様々ありましたね。製品や着色などによって、使用しているかどうかが変わってくるんですね。ご質問、ご相談はお気軽に。
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