皮なめし・皮革工場も義務調査になることもあると聞きました。
どんな土壌汚染物質が対象になるんですか?
皮から革製品になるまでの工程で、土壌汚染物質が使用されることがあります。
工程と物質について、詳しくみていきたいと思います。
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皮革(ひかく)・なめし とは?
皮革とは、皮(かわ)がなめしを中心とした製造工程をへて革(かわ)になること です。革になって初めて製品として成り立つことを示しています。
皮と革はどちらも「かわ」と読みますが、「皮」とは動物から動物体を覆う最外層の組織をはぎ取ったもの(英語で Skin、Hide)、「革」とはそれから毛を除去し加工することで製品の素材に仕上げたもの(Leather)を指します。
この「皮」を「革」に不可逆的に変える工程のことを「なめし」と言います。
※ よく「皮靴」や「皮製品」という文字を見かけますが、「革靴」、「革製品」が正解です。
※ なめしてあっても毛が付いているものは「毛皮」と書きます。
皮から革、革から製品革になるまでの工程
「皮」は、たくさんの工程を経て製品として使用される「革」になります。
革製品になるまでの工程はいくつかホームページで紹介されていますが、今回は、日本革市さまのホームページを参考に紹介させていただきます。
準備工程
水漬け
皮に付着している血液や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い生皮の状態に戻し、後の薬品処理をスムーズに行うために重要な工程。
裏打ち
裏打機(フレッシングマシン)を用いて、皮の肉面(裏面)に付着している肉片や脂肪を取り除く。
脱毛・石灰漬け 石灰乳に浸漬させ、アルカリにより皮を膨潤させ皮のコラーゲン繊維をほぐすとともに、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。皮革独特の柔軟性を得るのに役立つ。
分 割
分割機を用いて皮を所定の厚さに銀面側(表面)と肉面側(床皮)の二層に分割する(鞣し後に分割する場合もある)。
床皮は床革のほか食用、工業用、医療用コラーゲン製品として多方面に利用される。
垢出し脱毛、石灰漬けの段階で除去しきれなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいにする。垢出機(スカッティングマシン)または銓(せん)刀を用いて圧出除去する。
再石灰漬け
石灰乳に再浸漬し、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐす。ソフト革やスエード調革には不可欠。
脱灰・酵解
脱毛・石灰漬け、再石灰漬けで皮中に残存した石灰を取り除く。酵解(ベーチング)とは、タンパク分解酵素により不要なタンパク質を分解除去し、銀面をなめらかにする。
なめし工程
浸 酸
なめし剤を皮中に均一に分布させるための前処理として、鞣(なめし)工程に先立って皮を酸性溶液中に浸漬して、鞣剤の吸収に適する状態にする。
タンニンなめし/クロムなめし
槽(ピット)にタンニンなめし剤を入れてじっくり漬け込む方法やドラムによりタンニンなめし剤を皮に浸透させる方法によ
り、伸びが少なく、高い可塑性などを与える。
クロムなめし
ドラムによりクロムなめし剤を皮に浸透させ、コラーゲン繊維と結合させることで、柔軟性、耐熱性などを与える。
水絞り
革中の余分な水分を水絞り機により絞り出す。
シェービング
シェービングマシンで革の肉面を削り、一定の厚さに調整する。
染色・加脂工程
再鞣
各種用途(靴や衣料、袋物用革など)にもっとも適した性質の革をつくるためにはクロム鞣しのみでは不十分であり、合
成鞣剤や天然の植物タンニン剤を使って、用途に応じた特性を与える。
中和
酸性の革をアルカリにより中和し、染料や加脂剤の浸透が均一になるように調整する。
染色・加脂
染料の基本要件は、色、溶解性及び皮革への染着であり、これら要件を備えた染料を使用して素材を着色するのが染色である。加脂は変性した生油や合成油脂を用いて、革に柔軟性や豊満性などの感触の特性を付与する。
水絞り・伸ばし
サミング・セッティングマシン(水絞り・伸ばし機械)により、革中の余分な水分を絞り取り、革を伸ばす。
仕上げ工程
乾燥
仕上げ工程に先立ち乾燥する。自然乾燥あるいは熱風乾燥する。革の感触にとって直接的に影響する工程。
味入れ
革に適当な水分を与え、もみほぐしやすくする。
ステーキング
ステーキングマシンにより革をもみほぐし、柔軟性や弾力性を与える。
ネット張り乾燥
網板上にトグル張りし、平らな状態に乾燥する。ガラス張りの場合は不要。
縁断ち
製品に仕上げるのに不必要な縁まわり、その他を縁断ちする。
銀磨り
ヌバックなどにする場合、バフィングマシンを用いてサンドペーパー掛けを行う。銀磨りされた革はブラッシングマシンにより除塵される。
塗装
外観の美しさを色と艶で強調するとともに、革の耐久性を得るように塗装などで、銀面を塗布する。
艶出し・アイロン・型押し
機械により表面を艶出し、またはアイロンをかける。必要により型押またはモミ作業を行う。
仕上げ後
計量
計量は最終形で行われ、計量機にかけて革面積を測る。単位は国内向けのデシ(DS、10cm×10cm)と海外向けのスクエア・フィート(SF、約 9.3 デシ)の 2 種類がある。
検査・出荷
製品革
甲革、底革、袋物用革、衣料革、エナメル革、工業用革など各種一次製品革。
革の品質は「なめし」によって大きく影響を受けるんですね。
革をなめすためには、多くの人の手間と時間がかかっているのがよく分かります。
続いて、皮革なめしの工程で使用される可能性のある土壌汚染物質を見ていきたいと思います。
皮革なめしの工程で、使用される可能性のある土壌汚染物質は?
テトラクロロエチレン =皮革の洗浄剤として使用されるケースがあります。
六価クロム =クロムなめしで、六価クロムを使用していたケースがあります。
現在は三価クロム※を使うようになってきているところが多いです。
※三価クロムの特徴
無害どころか、実は人間の必須ミネラルのうちの一つで、欠乏すると糖尿病になる危険性があります。
自然界にも三価クロムは存在しますし、したがって環境負担が小さいと言えます。
三価クロムメッキの色はシルバー色ですが、六価クロムメッキと比較すると少しだけ黒みがかって見えます。また、耐食性では六価に劣りますが、その他の性能に関してはほぼ同等です。ただし、密着性に関しては六価クロムよりも優れています。
三価クロム | 六価クロム |
・人間の必須ミネラルの一つ ・環境負担が小さい ・少し黒みがかったシルバー色 ・六価と比較して 耐水性〇 密着性◎ |
・人体や環境に悪影響 ・処理後のクロム製品に毒性はなし ・少し青みがかったシルバー色 ・三価と比較して 耐水性◎ 密着性〇 |
ベンゼン =合成皮革の原料やその溶剤として使われるケースがあります。
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