さて、先日お問い合わせいただいた中で、
なぜトランスがあると、土壌汚染が懸念されるのでしょうか。
「トランス」って何?
まず『トランス』とはなんぞや?というところから始めます。
トランスとは高圧の電線からきている電気を家庭用または事務所や営業所で用いられる電圧へと変換する装置です。電柱の上に付いている大きな円柱型の機器もその一種です。
変圧器の有害物質 PCB
トランスの中には絶縁油が入っています。
その絶縁油として使用されていたのがポリ塩化ビフェニル(以下、PCB)です。
PCBとは?
日本において、PCBは1954年から製造され、絶縁油・塗料・溶剤として使用されていました。
しかし、1968年にPCBが混入した食用油を摂取してしまった人々に健康被害がでる油症事件をきっかけに、1972年には使用・生産の規制をうけ、1975年に製造・輸入が中止されました。
その後、PCBを使用していた製品は製造されなくなりましたが、当時、使用されている製品に含まれていたPCBは製品の耐用年数が迎えるまでは使用可能と判断されました。
また、廃棄・処分方法も確立されていなかったため、現地保管という決定となりました。
ところが、製造・使用中止とされていたにも関わらず、2002年には、トランス等の電気機器が微量のPCBに汚染されている可能性があるということが判明しました。
変圧器、トランスを処分するには?
現在ではどこに低濃度のPCBを含む製品があるのか等把握できておらず、PCB汚染の可能性がある製品について、PCB含有の試験を行い、処分先を検討しなければなりません。
もちろんすべてのトランスにPCBが含まれているとは限りませんが、どこに混入しているか不明なので、トランスの廃棄の際には注意が必要です。
過去にトランスから取り出されたPCBが、現地保管されているものを知らず知らずのうちに産業廃棄物として処分してしまっていることなどもあるそうです。
トランス(変圧器)を処分する場合には、PCBが含まれているかを調査し、製造日等だけで分からない場合は、絶縁油を採取してPCBの分析をすることが必要になります。
ジオリゾームでは、PCBの調査から処分まで承っておりますので、お気軽にご相談ください。
地上トランスがある場合の土壌汚染調査
さて、トランス(変圧器)自体の処分から、「土壌汚染調査」に話を戻しますが、地上トランスがある場合にPCBは土壌汚染調査が必要なのでしょうか。
答えを言ってしまうと、トランスがあっても基本的には調査の対象とはなりません。
PCBを含まないトランスがあっても、調査の対象にならないのはもちろんのことですが、
・PCBを含むトランス(変圧器)を屋外保管している場合にのみ、調査の対象になります。PCBを含むトランスを屋内保管している場合で、漏洩していない場合は調査対象になりません。
・しかし、絶縁油が漏洩していたなどの事故があれば土壌汚染調査が必要です。
漏洩に関しても目に見えない場所で起こっている可能性もあるので、トランスが設置されている場合には自主的に調査をしていた方が安心できるとは思います。
トランスの処分、PCBの調査や分析のことで気になる点、もっと詳しく知りたいことがある、そんな場合にはジオリゾームにお気軽にご相談下さい。
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