特定有害物質と聞いて、みなさんは身近にあるものを想像しますか?
今回は第2種特定有害物質に指定されているホウ素にスポットを当ててみたいと思います。
ホウ素は元素記号がBで表される物質です。実はみなさんの周りにたくさん存在しているかもしれません。
住宅用の断熱材やガラス強化プラスチックに使うガラス繊維の原料が最も多く、そのほか液晶ディスプレイなどの特殊ガラスの製造や陶磁器のうわ薬などに使われます。
最近はあまりみることはなくなりましたが、ゴキブリ退治に使われる「ホウ酸団子」はホウ素化合物のホウ酸にじゃがいもや玉ねぎ、小麦粉、砂糖、米ぬかを混ぜて団子にしたものです。
ホウ酸団子は元々岐阜県の池田町で1960年ごろに使われだしたのが始まりと言われています。結果、どの家でもゴキブリを見なくなったことから、住民が会社を設立し、普及していったのです。
他には、子供たちの間で大ブームとなっていたスライム。
私も最近作りましたが、洗濯のりにホウ素化合物のホウ砂飽和水溶液を混ぜていくことでぷるっぷるのスライムが出来上がります。人気ユーチューバーがスライムを作る動画をたくさんアップしているので子供も作りたくなりますね。
原料のホウ砂は創傷面から吸収されるので、傷がある時にはスライム作りは我慢しましょう。
ホウ素の他の特徴としては、状態によっては、ホウ素は非常に硬い物質となります。
合金などの添加剤として、金属製品の高融点化(熱で融けにくくなる)、硬度の増大、酸化防止の効果を生み出すために利用されます。そのため金属加工業を行う業種ではホウ素を使用していた可能性が高いです。
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また、顔料や写真フィルムを現像する際の薬品にもホウ素は含まれていることがあります。
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他にも自動車のブレーキオイル(ブレーキフルード)でも使われていることもあります。
ブレーキオイルは吸湿性があるので、長期間使用すると湿気を吸収します。湿気を吸収すると沸点が下がるのですが、ブレーキから沸点を超える熱が伝わると沸騰して気泡ができ、圧力伝達を阻害します。これが起こるとブレーキを踏んでも、ブレーキが効かなくなり、これをベーパーロック現象といいます。それを避けるためにホウ素化合物であるホウ酸エステルを混合するなどして沸点を上げたりしています。
ホウ素は、ホウ酸団子から工業用まで幅広い分野で使用されています。
窒素とホウ素からなる窒化ホウ素は、非常に硬い物質として工業界で活躍しています。ウルツァイト窒化ホウ素という物質は、ダイヤモンドより硬い物質として知られています。身近なところにあるものほど、「まさかそんなものに毒性があったなんて」と油断して扱ってしまうこともありますので、取り扱いには注意が必要です!
間違っても、スライムを作った後のホウ砂水溶液を庭に撒いたなんてことがないように・・・。もしかしたら過去の住人がそうしてしまった可能性があるかもしれませんが・・・。
今はデジタルカメラが主に主流となっていると思いますが、いまだにフィルム式のカメラを愛用している方、そして個人で趣味として自宅で写真現像を行っている方、写真現像を行っている店舗、もしくは過去にそれらを行ったことがある住居や店があった土地などなど・・・。
また、自動車のブレーキオイルは基本的には整備工場などで行いますが、You Tubeで交換方法の紹介動画もあるので自宅で交換している人もいるかもしれませんね。
土壌汚染は工場以外にも、どんな所でも起こりうる可能性があるのです。
土地を購入する際には、ここは工場ではなかったから大丈夫だろうと思っていたら、実は土壌汚染のある土地だった・・・なんてことも起こりうるわけです。
土地の購入を検討されている方は是非購入前に土壌汚染調査を行って、土壌汚染のある土地を知らずに購入するリスクをなくしましょう。
土壌汚染調査は人生で何度も行っている人はそう多くありません。
どんな些細な疑問でもお答えしますので、疑問があればお気軽にジオリゾームまでお問合せください。
佐伯
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