土壌汚染の対策工事については、様々な工法があります。薬剤を撹拌するような化学処理や生物処理等については敷地の利用方法や近隣への対処なども必要な場合があります。
汚染土壌の対策工事として一番わかりやすいのは、掘削除去と呼ばれる工法です。汚染土壌が確認された範囲を掘削し、汚染土壌を場外搬出して、掘削した範囲には、汚染の無いきれいな土壌と入れ替えるといった工法です。
掘削除去の費用については、大きく分けて土工事、運搬処分があります。
■土工事
土工事の費用は汚染の深度が1m以内など浅ければ、10,000円弱/m3のことろが多いと言えます。ただし、掘削深度が1mを超えるような状況になってしまうと、矢板を打ち込み土留め工事が必要になるなど費用が別途必要になるケースもあります。また地下水が浅く、掘削深度より地下水が浅い場合には、排水処分を行わなくてはなりません。そうなると土工事の費用は3倍程度コストがかさむケースもあります。
その他に、第1種特定有害物質や水銀などの汚染になると、揮発性を有するため、掘削した土壌を袋詰めにしたりと、必要な資材が増えてしまいコストがかさむケースもあり、案件ごとに対応が変わるところです。
■運搬処分
運搬処分とは掘削した汚染土壌を汚染土の処分を行える施設へ運ぶ費用や処分費などが該当します。鉛などの重金属の汚染であれば、運搬処分はおよそ12,000~16,000円/t程度と言われています。汚染がひどい場合や処分が難しい有害物質、複数の有害物質による汚染であれば、20,000~50,000円/t程かかることもあります。ただし、この費用は10tダンプが乗り込めるかどうかによっても大きく費用が変わります。例えば道幅やダンプが通れない高さ制限のある道しか通行できない等の条件が悪ければ、2tダンプなどで回送を余儀なくされます。10tダンプと2tダンプでは単純計算で5倍程運搬できる汚染土壌の量が変わります。
汚染土壌を1m3処分するのに業界では5~10万円と言われています。土壌汚染調査では100m2単位で汚染の有無を判断するので、100m2の敷地で1m汚染が有ると100m3となります。これだけの汚染土壌を処分するとなると500~1000万円程かかると言えます。
この汚染土壌の処分費を抑えるために、絞り込み調査を行うことが重要です。この調査の結果5m四方で汚染がなくなっていると判断できれば、汚染範囲は25m2と範囲を絞り込めます。その結果25m2の掘削除去を行うことになれば、125~250万円程のコストで対策工事を行える計算になります。
汚染土壌の対策工事を行う必要があれば、是非絞り込み調査を行った上で判断をするようにしてください。土壌汚染の対策工事については、条件によってコストの算出が一概には言えない難しさがあります。まずはお見積りからでも構いません。土壌汚染のことでお困りごとがございましたら、是非ジオリゾームにご相談下さい。
森上
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2022年12月6日 追記
皆さんこんにちは
ジオリゾームの森上です。
本日は土壌汚染の工事に関するお話です。
掘削除去については、上にも書いてある通り、土木工事と搬出処分のコストがかかります。
一般的な土木工事と汚染土壌を扱う場合に注意が必要な点についてお話いたします。
■健全土と汚染土の違い
土木工事自体は健全土と汚染土であっても同じような工程をとります。
ただし注意しなければならないのは工事周辺への環境負荷です。
汚染土壌を取り扱う場合には、搬出土壌(汚染土壌)による二次被害が最も起こりやすい対策工事と言われています。
工事で出てしまう粉塵や搬出する土壌には、健康被害につながるような有害物質が付着しているためです。
一般的な土木工事でも行われているところですが、粉塵が出ないように水を撒いたり、工事エリア内から泥を引っ張らないように鉄板を敷いた上をトラックや重機が走行したり、工事エリア外に出るときにはタイヤを洗浄してから出るなどです。また汚染土壌の場合には、トラックで運搬している際に飛散しないように荷台にシートをかぶる必要があります。
また、有害物質の中には、空気中に飛散してしまう揮発性という性質を持った有害物質も存在します。そのため、運搬中に有害物質を密閉できるようなフレコンバック(トンパック)、ドラム缶等で運搬することが必要なケースがあります。
その他にも、地下水についての注意事項もあります。
土木工事をする際に、地下水が出てくることがあります。
一般的な土木工事でも地下水が出てくると、掘削面が崩れたりして掘れなくなるため、土留めや遮水壁を使用します。汚染土壌を取り扱う場合も同様ですが、注意が必要なのは、掘削することによる汚染物質が広がってしまう可能性があることです。
汚染土壌の工事の際には、このようなことも起こり得ます。そのため、事前に地下水により汚染が拡散しないような対策や、汚染拡散をチェックするためのモニタリング井戸が必要になります。
汚染土壌の判明している土地での工事というのは注意が必要なところが多々あります。そのため、一般的な土木工事よりもコストが割高になってしまい、土地自体が動かなくなってしまうケースがあります。
法としては、汚染を残したままでも健康被害につながらないような、摂取経路の遮断を目的とした浄化工法もあります。
経口摂取を遮断したとしても汚染自体が残ってしまうことを危惧されてしまうと土地が動かなくなるため、掘削除去が対策工事として選ばれていることになります。
如何に環境負荷を低減させて、土壌汚染に対してうまく付き合っていくかが必要ですね。
土壌汚染のことでわからないこと、気になることがあれば
是非ジオリゾームにご相談下さい。
森上
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2024年3月19日更新
土壌汚染対策法では、土壌汚染確認されたエリアについて区域指定を行い、
汚染土壌の存在する場所を明示し、管理します。
しかし区域指定を受けた中には、実際には調査を実施をせず、調査を省略して
区域指定を受けている土地もあります。
区域指定の種類は要措置区域と形質変更時用届け出区域があります。
■要措置区域とは
字のごとく、なんらかの措置を要する区域。
汚染のあるサイトの付近には地下水を生活用水や防災用水として活用しているところがあり、健康被害になる可能性がある区域。
または、汚染土壌自体が直に触れられ、接触経路が存在するような状況(例えば公園の砂場など)で活用されている区域
■形質変更時用届け出区域とは
形質変更時用届け出区域は、土壌汚染は存在するものの、直接健康被害につながるような摂取経路がない場合などに指定されます。
要措置区域であっても、形質変更時用届け出区域であっても、
土木工事を実施される際には、
・どのような工事をするのか、
・汚染土壌をどの程度の量を掘削するのか
・敷地外への運搬が行われるのか、またどこに運ぶのか、
・どのような運搬経路で運ぶのか
・汚染土壌掘削工事をする際の環境保護の方法、
・地下水が出てきた際の処理方法
等の計画を作成し、管轄の行政に提出する必要があります。
また提出する書類については工事開始の14日前までに提出を求められます。
汚染土壌は基本的に汚染土壌を処理できる処理施設へ運搬することが必要です。
また区域指定を受けた際に、深度調査が途中までになっているなどの場合があります。
本来10mまでボーリングを実施し汚染の深さを確認することになりますが、
土壌汚染対策法では有害物質の種類によっては2深度汚染がないことが確認されれば、その深度よりも深い場所は調査を必要としないケースがあります。
仮に、1mが汚染土壌、2mが基準以内、3mも基準以内となった場合、
区域指定をされているエリアから搬出される土壌の内、4mよりも深い部分は分析結果を必要としないことがあります。
その結果、4m~10mまでの汚染は不明となります。
区域指定の後に土木工事を実施する際には、認定調査(出典:環境省 土壌環境課)を行い、区域指定をされている区域の土壌であっても法の規制を受けることなく、土壌を搬出することも可能です。
条件としては1度汚染土壌として確認されたものは、覆すことはできませんが、
調査未実施の深度の土壌は、汚染土壌ではなく健常土として搬出を行える可能性があります。
土壌汚染の区域指定を受けている土地において建築などの工事を実施される際には、
一度認定調査を実施することで汚染土壌の量を減らし、コスト削減を図ることが可能です。
土壌汚染のことで気になること、わからないことがありましたら、
是非ジオリゾームにご相談ください。
森上
関連ページ:
◆土壌汚染調査の流れ
◆詳細調査
◆土壌浄化工事
◆土壌調査、浄化の費用
*業務時間外は、直接担当者に繋がります。