土壌汚染調査の一時的免除 (法第 3 条第 1 項ただし書)とその土地での注意点

お問い合わせ

資料請求


資料


mail


電話

土壌汚染調査の株式会社ジオリゾーム

東京

03-5606-4470

大阪

06-6381-4000

草のイラスト

スタッフブログ

2024年

土壌汚染調査の一時的免除 (法第 3 条第 1 項ただし書)とその土地での注意点


法3条調査の一時的免除

もりかみ

今回取り上げるのは、土壌汚染対策法第3条の調査猶予を受けたただし書きの土地です。ただし書きとは?ただし書きの土地にかかわる注意点をご紹介します。

1.まずは土壌汚染対策法の概要から

さて今回は、土壌汚染調査の一時的免除(法第 3 条第 1 項ただし書)について考えていきたいと思います。
まずは、土壌汚染対策法について簡単に説明します。

土壌汚染の調査が必要となるのは?

土壌汚染対策法(以下「法」という)では、土壌汚染の調査が必要となるのは次の三つの場合としています。これらの調査を「土壌汚染状況調査」といいます。

  1.  「有害物質使用特定施設」を廃止したとき (法第 3 条)。
  2.  「一定規模」以上の土地の形質の変更の届出をした土地について、都道府県知事等が土壌汚染のおそれがあると認めるとき(法第 4 条)。
  3.  土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(法第 5 条)。

これらのほかに、自主的に土壌汚染の調査を行うこともあります(法第 14 条など)。
平成 22~令和 2 年度に行われた法第 3 条、法第 4 条、法第 14 条に係る調査結果の報告・提出件数は以下の通りです。

法第3条による土壌汚染の調査とは?

法では、人の健康被害を生ずるおそれがある物質(「特定有害物質」)として、下表の物質が定められています。
そして、汚染地下水を摂取することによるリスクから「土壌溶出量基準」と「地下水基準」が、汚染土壌を直接摂取することによるリスクから「土壌含有量基準」が定められています。
これらの特定有害物質を製造し、使用し、又は処理する「有害物質使用特定施設」(水質汚濁防止法で規定)を廃止したときに、土壌汚染の調査が必要となります。これが法第 3 条の土壌汚染状況調査です。
なお、上記施設に該当しない研究機関の研究棟、病院等に設置された洗浄施設も調査の対象となる場合もありますのでご注意ください。
調査対象の土地は、廃止された有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地全体となります。
調査の実施主体は、上記の土地の所有者、管理者又は占有者です。これらの者を「土地の所有者等」といいます。

特定有害物質の種類

特定有害物質の種類は、26種類あります。これらを含む物質を使用等している特定施設を廃止するときに、土壌汚染対策法第3条の調査が求められます。

物質についてもっと詳しくは、第1種特定有害物質第2種第3種特定有害物質のページをご参考にしてください。

2.法第3条調査が一時的に免除されるケースとは?

もりかみ

では、本題の「法第3条の調査猶予を受けたただし書きの土地となるケースとは?」どんな時なのでしょうか。

法3条調査猶予、や法3条調査の一時的な免除という表現をしたりします。

法第 3 条調査の対象は工場・事業場の敷地全体となっていますが、都道府県知事等が土地の利用の方法からみて土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがないことを確認した部分については、調査義務が一時的に免除されます

具体的には、特定有害物質使用の特定施設は廃止するが工場は継続する場合、特定施設を廃止し工場も廃止するが住居として使用しつづける場合など、があります。
調査の一時的免除の対象となるその他のケースについても詳しくお知りになりたい方は、「土壌汚染リスクを見極める」の資料に詳しく掲載していますので、ダウンロードください。

3.調査の一時的免除を受けた土地で、調査義務が発生するときとは?

あくまで、調査の一時的免除ですので、下記に該当する場合は調査義務が発生します。

土地の利用方法が変更になるとき

そもそも、調査の一時的免除は、「都道府県知事等が土地の利用の方法からみて土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがないことを確認した」ことで、認められていますので、土地の利用方法が変更され、当該確認が取り消された場合には、調査義務が発生します。

900㎡以上の土地の形質変更を行うとき

なお、調査義務が一時的に免除された土地において、900 ㎡以上の土地の形質の変更をする場合には、土地の所有者等は都道府県知事等に対して届出が必要となり、土地の所有者等に対し土壌汚染状況調査の実施と結果の報告が命じられます(法第 3 条第 7 項、第 8 項)。
この条文が施行された令和元年度以降、法第 3 条の調査結果の報告件数が増加しています(前図)。

4.土壌汚染調査の一時免除(猶予)を受けた土地についての注意点・Q&A

令和4年7月1日に環境省から出された「土壌汚染対策法に関する Q&A」から、土壌汚染調査の一時免除(猶予)を受けた土地についての注意点に関するものをピックアップしました。
ご参考になさってください。

Q1:法第3条第1項ただし書の確認を受けた工場又は事業場の敷地全体について、当該確認の取消しを受ける前に土壌汚染状況調査と同等の調査を行った結果、汚染が見つからなかった場合も、法第 14 条第1項の指定の申請をさせるべきか。
A1:敷地全体について調査できるような状況であれば、まずは法第3条第1項ただし書の確認を受けた土地の利用方法について変更がなされていないかどうかを確認する必要がある。当該調査の結果、汚染がなかった場合には、法第 14 条第1項の指定をすることはできない。なお、当該調査の結果は、法第3条第1項ただし書の確認が取り消された後に調査義務の履行として提出してもらうことが可能である。

Q2:法第3条第1項ただし書の確認を受けた工場又は事業場の敷地の一部について、法第 14 条第1項の指定の申請がなされ、都道府県知事等が確認して区域指定を行った場合、当該確認は取り消すこととなるのか。
A2:土地の利用方法の変更がない限り、ただし書の確認は取り消されない。当該確認を受けた工場又は事業場の敷地について、法第 14 条第1項の指定の申請に基づき区域指定がなされたとしても、当該確認が取り消された段階で、法第3条第1項の調査義務が生じることとなる。

Q3:特定有害物質を3種類使用している有害物質使用特定施設において、1種類のみの使用の廃止に係る水質汚濁防止法第7条の変更の届出があった場合、3種類全ての使用を廃止するわけではないので、法第3条第1項の調査義務は生じず、同項ただし書の確認をする必要はないと解してよいか。
A3:1種類のみの使用を廃止する場合であっても、法第3条第1項の調査義務は生じ、同項ただし書の確認は必要となる。

Q4:有害物質使用特定施設に係る工場・ 事業場の敷地において、900 ㎡以上の土地の形質の変更が予定されている。その工事計画によれば、当該土地の形質の変更の途中で当該施設の使用を廃止し、法第3条第1項ただし書の確認を受けることになるが、ただし書の確認を受けた後の土地の形質の変更の面積が 900 ㎡未満であっても、
一連の土地の形質の変更の合計面積が 900 ㎡であるとして、法第3条第 7 項の届出が必要になるのか。

A4:法第3条第7項は、ただし書の確認を受けた土地における土地の形質の変更を対象にしているため、ただし書の確認を受ける前の土地の形質の変更について、法第3条第7項の規定が適用されることはない。本件の場合、有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地における 900 ㎡以上の土地の形質の変更について、法第4条第1項の届出が必要であり、施設及び敷地の状況を把握して、法第4条第3項の調査報告命令を適切 に運用する必要がある。

Q5:法第3条第1項ただし書の確認を受けた土地において 3,000 ㎡以上の土地の形質の変更を行う場合は、法第3条第7項の届出のほかに、法第4条第1項の届出が必要か。
A5:3,000 ㎡以上の土地の形質の変更については、法第4条第1項「対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上」であるが、法第3条第1項ただし書の確認に係る土地は法第4条第1項第1号に該当するため、法第4条第1項の届出は必要なく、法第3条第7項の届出のみで足りる。

Q6:法第3条第1項ただし書の確認を受けた土地において、1,000 ㎡以上の土地の形質の変更を行い、その隣接地で2,000 ㎡以上の土地の形質の変更(合 計3,000 ㎡以上の土地の形質の変更)を行う場合は、法第3条第7項の届出のほかに、法第4条第1項の届出が必要か。
A6:法第3条第1項ただし書の確認を受けた土地における 1,000 ㎡以上の土地の形質の変更については、法第3条第7項の届出が必要である。
さらに、3,000 ㎡以上の土地の形質の変更については、法第4条第1項「対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上」であり、同項第1号に該当しないため、法第4条第1項の届出が必要である。


お問い合わせバナー

*業務時間外は、直接担当者に繋がります。

お困りごとなど、お気軽にご相談ください。
スタッフ写真

コメントを残す

メールアドレスは公開されません

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください