調査の目的によってはあまりコストをかけずに、土壌汚染リスクを概略的に把握したい場合もあると思います。本調査は、地歴調査では定性的な評価になってしまうため、より信憑性をあげるために、汚染のおそれが高い部分をスポット的に調査し、土壌汚染を半定量的に評価することができる調査方法です。
どのような場合に土壌汚染のスポット調査を行うの?
本調査は次のような場合に有効的です。
土地取引におけるリスク評価
地歴調査では定性的になってしまうため、汚染のおそれが高い部分にて土壌試料採取等を行い、現況のリスク評価を半定量的に行えます。 また、ショッピングセンター等テナント営業中で全域の調査ができない場合等にも有効な調査方法です。
M&A等を実施する際の環境リスクの把握
土地を含めた企業の合併や買収をする際には、土壌汚染のリスクを引き受けることになります。
土地の所有権を取得する前に、土壌汚染のスポット調査(フェーズ1.5)を行うことで、あまりコストを掛けずに環境リスクの把握を半定量的に行えます。
土地における担保評価等
金融機関へ土地を担保にする際にも、土地の汚染状況を調査してください、と言われることがあります。そんな場合に、土壌汚染のスポット調査だとコストを抑え、地歴調査から表層土壌調査まで簡略的に行うことができます。
汚染物質取り扱い特定施設の現状を把握
工場や有害物質を使用している土地では、常に土壌汚染の危険性があります。
いざ工場を売ろうとしたときに、土壌汚染が発覚してしまい、膨大な対策費用がかかる場合があります。 土壌汚染のスポット調査では現時点での汚染状況を把握し、対策に必要なコストを概略的に算出することが可能です。
土壌汚染のスポット調査(フェーズ1.5)の工程
①地歴調査の実施
土地の利用履歴などを住宅地図・航空写真・登記簿などを用いて調査をします。
その結果、書類上で確認された土地履歴から汚染物質の使用履歴、使用場所を把握します。
②分析項目と調査方法の決定
地歴調査の結果から、調査の対象となる特定有害物質を決め、調査方法の打ち合わせを行います。
③採取地点の設定
対象地の中で汚染の可能性が高い場所の土壌試料、土壌ガス試料を採取することで、 より正確な土壌汚染の状況を調べることができます。
しかし事業活動の妨げや、設備の付近での作業はケガにつながる可能性がありますので、汚染の可能性が高い場所を選定しつつ、安全も考慮した採取地点の設定を行います。
④現地調査
土壌ガス採取
メッキ業や精密機械業、ドライクリーニング業をしていた土地では有機塩素化合物と呼ばれる第1種特定有害物質(VOC)による土壌汚染の可能性があります。有機塩素化合物は、メッキ業では脱脂の工程で使われるトリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、ドライクリーニングであればパークレンなどに含まれています。VOCは揮発性が高く土壌中においても気体として存在することが多く、土壌汚染対策法では、土壌中のガスを採取し汚染されていないか調査します。
土壌採取
メッキ業や印刷業、金属加工業などでは重金属類と呼ばれる第2種特定有害物質の汚染の可能性があります。メッキ業ではクロム酸メッキ、シアン化銅・シアン化亜鉛・シアン化ソーダ等のメッキ薬品に含まれており、印刷業ではインクの成分に鉛やカドミウム、フッ素、シアンが含まれていることがあります。
第2種特定有害物質は土壌を採取し汚染されていないか調査します。
⑤土壌(土壌ガス)分析
採取した土壌ガス、土壌試料を分析機関にて濃度を計量します。
⑥報告書の作成
地歴調査と土壌試料・土壌ガス試料を分析した結果をもとに、報告書の作成を行います。
対象地の状況や、調査する物質の数などによって価格は変動致しますので、お気軽にご相談ください。