土壌汚染対策法による義務調査を実施したケースや、義務調査をする予定だったが調査を猶予したケースをご紹介します。
義務調査の土壌汚染調査について、気をつけるポイント、調査の流れや内容、期間などを詳しくまとめた無料冊子等もご参考にしていただければと思います
事例1 貸し土地の工場が破産。地主の資金と破産管財人が入り調査、浄化を実施。
土壌汚染調査の経緯
地主が、機械工場に土地を貸していました。
その工場が破産し、廃業する結果に。実は、その貸し工場が特定施設だったことが判明。
土壌汚染調査命令が地主のもとに送付されてきました。
破産管財人との話し合いのもと、費用を工場主資金から出資(一部地主負担の可能性あり)にて、調査を実施することに決定しました。
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土壌汚染調査の概要
調査場所:関西地方
調査種類:義務調査(「土壌汚染対策法」に準拠)
敷地面積:2500㎡
現地の状況:建物有り
具体的な調査内容1:地歴調査
(書類上のみでの調査です。土壌採取・分析は下の表層土壌調査で実施しています。)
報告書内容
・対象地および周辺地の概要
・土地利用の変遷
・空中写真、住宅地図、地形図による過去の土地の利用状況等の目視による調査
・現地踏査による調査
・登記簿謄本(現在および過去のもの)
・地形図(現在および過去のもの)
・空中写真(現在および過去のもの)
・住宅地図(現在および過去のもの)
・地質図
・現地踏査写真
資料収集・報告書作成約1.5ヶ月。役所確認約1ヶ月でした。
地歴調査の詳しい内容についてはこちら
地歴調査の費用についてはこちら
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具体的な調査内容2:表層土壌調査
第1種特定有害物質 特定施設にて使用していた物質(トリクロロエチレンとその分解生成物)についての調査
土壌ガス採取
採取箇所 28箇所⇒分析数 1物質×28検体
以上で、工期:地歴調査1ヶ月、土壌調査計画21日間(役所へ計画書確認含む)、採取・分析3日間、
報告書7日間でした。
土壌汚染調査結果
土壌ガス調査で、トリクロロエチレンを2地点で検出しました。
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具体的な調査内容2:詳細調査
土壌汚染調査1の表層土壌調査の土壌ガス分析で、トリクロロエチレンを検出した地点2か所にて10mボーリングを実施しました。
採取箇所 2箇所(0.05m、0.5m、1m、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10m)⇒
分析数 1物質×12検体×2か所
以上で、工期:計画 14日間(役所との打ち合わせ含む)、現地調査2日間、分析14日間、 報告書21日間(役所の報告書確認期間含む)でした。
土壌汚染調査結果2
土壌汚染が認められたため、指定区域に指定されました(区域指定の手続きまで約1ヶ月間)。
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住民説明会
周辺の住民の方への説明会を開催(準備含めて2か月程)。
現状と、土壌浄化工程や土壌浄化の内容について説明しました。
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土壌汚染対策工事
建物が立ったまま浄化することに。費用は、地主も資金を一部負担し、その後精算する形で実施。
・土壌汚染物質:トリクロロエチレン
・指定区域内
・舗装撤去、建物一部解体含む
・汚染土壌浄化方法:掘削除去(場外搬出)
・搬出汚染土壌総量 180m³
以上の内容で、
・現地工事期間 約1週間
・浄化計画~施工~浄化完了報告の届出(役所受理、指定解除)までの全工程約2カ月半でした。
一般的に、1㎥あたり5~10万円と言われることが多いですが、汚染の深度、汚染物質の種類、現場の作業環境によってさらに費用がかかる場合もあります。詳しくはお問い合わせください。
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その後
現在、もとあった建物を一部改装して、倉庫として土地を貸しておられます。
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事例2 特定施設を廃止して、借りていた土地を返却する(義務調査は猶予)
土壌汚染調査の経緯
メッキ工場が土地を借りて操業されていたが、この工場を廃業し、地主へ土地を返却することになった。 工場に特定施設があったため、土壌汚染対策法に基づく調査を実施するかどうかを検討した。
特定施設の廃止届を役所へ提出された。
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環境局から、工場主(借主)へ連絡あり。
環境局、工場主(借主)、地主現地立会のもと、調査を猶予するか、調査を実施するかの確認。
地主は、倉庫にする予定だったため調査を猶予。
(義務調査の猶予について、詳しくお知りになりたい方は『土壌汚染のリスクを見極める』の資料をご請求いただくか、お気軽にお問い合わせください。)
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ただし、借主と貸主の間で、借主負担で調査を実施する方向で話が決定。
土壌汚染調査の概要
調査場所:関西地方
調査種類:義務調査の仕様で自主的に調査(「土壌汚染対策法」に準拠)
敷地面積:220㎡
現地の状況:更地
具体的な調査内容1:表層土壌調査
第2種特定有害物質の中の、特定施設にて使用していた物質(シアン、六価クロム、ほう素、鉛)についての調査
表層土壌採取
採取箇所 7箇所⇒分析数 4物質×2検体
以上で、工期:計画21日間(役所への聞き取り、工場主への聞き取り)、現地調査 1日間、分析14日間、報告書7日間でした。
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土壌汚染調査結果
3地点で汚染が確認されました。
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浄化費用を算出するために、汚染の深さを絞り込む詳細調査を実施
具体的な調査内容2:詳細調査
土壌汚染調査1の表層土壌調査で汚染が認められた3箇所で、汚染が認められたシアンと鉛について、5mのボーリング調査を実施しました。
採取数 3箇所(0-0.05m、0.5m、1m、2m、3m、4m、5m)⇒分析数 シアン7検体、鉛14検体
以上で、工期:計画7日間、現地調査1日間、分析14日間、報告書7日間
計29日間でした。
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土壌汚染調査結果
浄化はせずに、地主がこのまま倉庫を建てて、賃貸することに決定。
ただし、浄化にかかる費用については、地主と借主の間で弁護士を立てて話し合いへ。
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事例3 自身の土地で営んでいる、塗装工場を廃業する
土壌汚染調査の経緯
自身の土地で営んでいる塗装工場を廃業することを決めておられました。塗装工場は特定施設がありました。
しかし、単純に廃業して義務調査をすると、もし汚染があったときに指定区域になってしまう。倉庫としても貸しにくくなることを懸念されました。ただ、汚染がなければ義務調査をしてきれいな状態で土地をコンビニや店舗として貸したいという要望をお持ちでした。
そこで、当社の提案で、 義務調査を実施するか調査の猶予をするかを検討するために、簡易な調査を自主的に行うことにしました。
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土壌汚染調査の概要
廃業前に、2階から1階へ特定施設と繋がっている配管の側近(一番汚染の可能性が高い部分)のみを調査しました。
調査場所:関西地方
調査種類:簡易的な自主調査 1箇所のみ
敷地面積:900㎡ 現地の状況:操業中
具体的な調査内容:簡易的なボーリング調査
特定有害物質使用箇所、配管横1箇所について3mボーリングを実施し、六価クロム・フッ素・ホウ素・シアンを分析。
採取箇所 2箇所(0.05m、0.5m、1m、2m、3m)⇒分析数 4物質×5深度
以上で、工期:現地調査1日間、分析14日間
計18日間でした。
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土壌汚染調査の結果
3mまで、基準値超過が確認されました。
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その後
義務調査の土壌汚染調査は行わずに、廃業して倉庫として貸すということで、調査を猶予する方向で決定されました。
(義務調査の猶予について、詳しくお知りになりたい方は『土壌汚染のリスクを見極める』の資料をご請求いただくか、お気軽にお問い合わせください。)
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