東京都は、土壌汚染対策法以外に、“さらに”条例で土壌汚染調査が必要なときがあるって聞いたんですけど・・・
そうなんです。東京都では、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」が定められていて上乗せ事項が加えられているので注意が必要です。
東京都の環境確保条例について、詳しく、図も交えながら説明していきます。
義務調査の土壌汚染調査について、気をつけるポイント、調査の流れや内容、期間などを詳しくまとめた無料冊子等もご参考にしていただければと思います
「環境確保条例」の概要
2022年3月24日に確認した情報です。
東京都条例で定められている土壌汚染調査の契機は、主に4つあります。
1つずつ、具体的に確認していきたいと思います。
①有害物質取扱い「工場・指定作業場」で事業の廃止、または施設を除去するとき
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)第116条
有害物質を取り扱っている、もしくは取扱い履歴のある「工場・指定作業場」で、事業の廃止、もしくは施設の除去を行う場合に土壌汚染調査が必要になります。 有害物質使用施設の除去に関しては、施設の大小にかかわらず調査が必要です。
実際に、東京都の条例に基づいた調査事例もご参考にしてください
②-1. 3,000㎡以上の土地改変を行う場合に、地歴調査が必要です
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)第117条
3,000m2以上の土地の形質変更を行う場合に、土地の改変者に対して、その土地で、過去に有害物質を扱った工場の履歴が有るかどうか等を調べる土地履歴調査(地歴調査)が義務付けられています。
地歴調査の結果、汚染のおそれがある場合には、土壌調査(実際に土を採取して分析する調査)が義務付けられます。
3,000m2以上の土地改変の調査事例、地歴調査はこちら
②-2.有害物質使用工場で、900㎡以上の土地改変を行う場合
こちらは、上の②-1と同じ土地改変なのですが、有害物質使用工場に限定された内容です。面積要件が狭いのでご注意ください。
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)第117条
上図のように、有害物質を取り扱っている、もしくは取扱い履歴のある「工場・指定作業場」で、900㎡以上の土地の改変を行う場合に、土地履歴調査(地歴調査)が義務付けられています。
地歴調査の結果、改変する場所に汚染のおそれがある場合には、土壌調査(実際に土を採取して分析する調査)が義務付けられます。
この条項は、H31年4月に施行された改正法に倣って新たに加えられました。
土壌汚染対策法のH31年4月の改正内容はこちらを参考になさってください
③自主的に土壌汚染調査し、報告する場合
義務調査ではなく、自主的に土壌汚染調査を実施して、その結果を都または市区町村(管轄の都、市区町村になります)に届出を行うことが出来ます。
④人への健康被害のおそれがある時、地下水汚染が認められる地域があるとき
有害物質(土壌汚染対策法で定められている有害物質と同じです。)によって、土壌汚染による健康被害のおそれがあるとき、地下水汚染が発生している地域(近隣も含まれます)がある場合、土壌汚染調査命令が出されます。
実際に、東京都の条例に基づいて実施した調査事例もご参考になさってください↓↓↓
内容のご不明な点やご質問については、お気軽にお問合せください。
東京都では、都の条例だけでなくて、区、独自の条例がさらにあるらしい・・・。続いては区の条例です。
東京都内の区の条例
東京都内では、環境確保条例の他に各区でも条例が制定されている自治体がありますので、注意が必要です。
荒川区
2022年3月24日に確認した情報です。
荒川区では、土壌汚染対策法、東京都の環境確保条例に加えて、「荒川区住宅等の建築に係る住環境の整備に関する条例」「荒川区市街地整備指導要綱」が定められています。
東京都条例に加えて、下記の建物建築の際には土壌汚染調査(地歴調査)が必要になります。
荒川区住宅等の建築に係る住環境の整備に関する条例
- 15 戸以上の共同住宅・寄宿舎の建築(増築、改築、用途の変更を含む)
- 一団の土地を 6 区画以上に分割する一戸建ての住宅・長屋の建築
- 土地 350 ㎡以上の区画形質の変更(道路の新設等)を伴う一戸建ての住宅の建築
- 敷地 350 ㎡以上の長屋の建築
荒川区市街地整備指導要綱
- 都市計画法第 29 条の開発行為に該当するもの
- 延床面積 1,000 ㎡以上の建築物
- 住戸の数が6以上の共同住宅、寄宿舎、長屋の用途に供する建築物
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
板橋区
2022年3月24日に確認した情報です。
板橋区では、土壌汚染対策法、東京都の環境確保条例に加えて、「板橋区土壌汚染調査・処理要綱」が定められています。
東京都条例に加えて、下記の建物建築の際には土壌汚染調査(地歴調査)が必要になります。
- 敷地面積が1000平方メートル以上及び住宅戸数30戸以上の共同住宅
- のべ床面積2000平方メートル以上の建築物
- 階数3階以上で住戸数10戸以上の集合住宅
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
江東区
2022年3月24日に確認した情報です。
江東区では、土壌汚染対策法、東京都の環境確保条例に加えて、「土壌汚染に係る事前協議要領」が定められています。
東京都条例に加えて、下記の建物建築の際には土壌汚染調査(地歴調査)が必要になります。
- 敷地面積が1,000平方メートル以上3,000平方メートル未満の建設計画
※マンション・業務用建築物が対象です。
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
その他の区について
東京都内のうち、以下の区町村については、区独自の条例は定められていません。土壌汚染対策法と東京都の環境確保条例条例に従って、調査が進められます。
2022年3月24日に確認した情報です。
足立区
江戸川区
太田区
なお、鉱油類の調査について規定した大田区土壌汚染防止指導要綱は平成31年3月31日に廃止となりました。
鉱油類による土壌汚染を確認した場合は、ガイドラインに沿って措置を実施。区への報告は不要です。
葛飾区
北区
品川区
新宿区
杉並区
墨田区
台東区
中央区
千代田区
豊島区
中野区
練馬区
文京区
港区
目黒区
実際に、東京都の条例に基づいて実施した調査事例もご参考になさってください↓↓↓
東京都は、土壌汚染対策法+東京都条例、さらに!区の条例もあって。。。大変だ。ご不明点はお気軽に